北米のコミック市場は2023年で18億7000万ドル、日本円にして3000億円近くあります。その中でマンガは、2020年と比べて売上も冊数もほぼ倍に増えました。2021年には前年比で160%ほど伸びています。出版市場全体が伸び悩むなかで、数少ない拡大している分野です。
この伸びをどう説明するかという動画に、アメリカのコミックを長く読んできた人たちからコメントが集まりました。作品の中身の話も出てきますが、繰り返し立ち返るのは流通の話でした。
1970年代まで、アメリカのコミックは新聞スタンドや食料品店、ドラッグストア、コンビニ、玩具店で売られていました。それが変わったのは、フィル・シウリングという人物が「ダイレクト・マーケット」という仕組みを作ってからです。返品を受け付けない代わりに専門店へ高い割引率で卸す方式で、取次にも専門店にも都合がよく、業界はこちらへ移っていきました。結果として、コミックはコミックを買いに来る人の前にしか置かれなくなります。
一方でマンガは、書店とスーパーの棚に並びました。そこが分かれ目だったのではないか、というのがコメント欄の見立てです。ほかに、物語が完結すること、作者が一人で最後まで書くこと、扱う題材の幅が異常に広いことも挙がっていました。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
マンガがアメリカのコミック業界を壊したんじゃない。アメリカのコミック業界が自分で壊れたんだ。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
マーベルとDCの救いようのない無能さを何より示しているのは、この30年間、彼らのキャラクターが映画の興行収入の首位を飾り続けて、自社の作品に莫大な露出を与えてきたのに、それをコミックへの関心の回復にまったく繋げられなかったという事実だ。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
「この世界ではバットマンが両親を殺してジョーカーになった」「この世界ではスーパーマンは地球に来ず、ブラックホールに落ちて農夫になった」。もう何十年も、DCとマーベルは同じヒーローを何度も焼き直しているだけだ。
4. 海外の名無しさん
マンガには「物語が前に進んで、そして完結する」という革命的なものがある。次の危機でリセットされるまで、ひたすら上へ上へと積み上げ続けるのではなく。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
ちゃんと終わる物語があるというのが、自分を掴んだところだ。第一次世界大戦のころからキャラクターを引き伸ばし続けているアメリカのコミックには、もう疲れてしまった。
6. 海外の名無しさん
アメコミの場合。「スパイダーマンを読みたいんだけど、どうすればいい?」「うーん……アメイジングか、スペクタキュラーか、アルティメットのシリーズを当たってみるといい。ただしアメイジングは年代によって第1号が6種類あるから気をつけて。それとスパイダー・グウェンとマイルス・モラレスの話も読んでおいたほうがいいかも……」。マンガの場合。「ナルトを読みたいんだけど、どうすればいい?」「ナルトの1巻を買って、72巻読め」。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
一人の作者が最後まで書くマンガの連続性は、作品ごとに題名も作者も話も違うコミックより、ずっと扱いやすい。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
たいていマンガの作者は、その作品が終わるまでその作品と一緒にいる。コミックでは市場の力学が作品を使い捨てにしてしまった。自分の場合、クリス・クレアモントがいなくなってからX-MENへの興味を失った。
9. 海外の名無しさん
アメリカでジャンプが創刊されたときのことを覚えている。最初の10年は全号持っていた。どうして自分がその存在を知って、手に入れられたか分かるだろうか。地元のスーパーに置いてあったからだ。毎月そこにあった。親は毎月書店やコミック専門店に連れて行ってくれるわけじゃない。でもスーパーにはいつも行っていた。夢みたいな話だ。これがどれだけ売上にとって重要だったかは、いくら強調しても足りない。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
アメリカのコミックをコミック専門店だけに移したのは、この業界がやったことの中でも飛び抜けて愚かな決断のひとつだったと思う。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
マンガが従来のスーパーヒーロー物を追い抜いた最大の理由が、結局は流通と手に入りやすさに行き着くというのが面白い。
12. 海外の名無しさん
読んでいて気づいたことがある。マンガは文字どおり何にでも存在する。サッカー? ある。バレーボールやその他のスポーツ? ある。キャンプ? ある。中学生の女の子が焼き菓子を作る? ある。自転車? ある。正直、抜け目ないやり方だと思う。誰もがハルクやサイタマが何かを殴るところを見たいわけじゃない。だったらその市場を取りにいくのは理にかなっている。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
マンガには、あらゆる種類の、夢を追いかける子どもたちがいる。最高のサッカー選手になりたい、最高の投手になりたい、最高のバスケ選手に、最高の料理人に、最高の火影に、海賊に。応援せずにはいられない。アメリカのコミックには、こういう子どもたちがいないんだ。
14. 海外の名無しさん
マンガについてもうひとつ言えるのは、競争が信じがたいほど激しくて、新しい書き手が絶えず注ぎ込まれていることだ。マーベルやDCでは、見覚えのある名前が長い期間、複数の作品を渡り歩いて書き手や作画として働いているのが珍しくない。ところがマンガでは、5年前に雑誌に載っていた人の大半が、二度と連載を持てないかもしれない。それくらい容赦がない世界だ。
※注:このコメントの元の文には、ジャンプに載るのは東京大学に入るより統計的に難しいという調査がある、と書かれていました。ただ出典は確認できなかったので、ここでは省いています。
15. 海外の名無しさん
90年代に、地元で絵を教えていたマーベルの画家に会ったことがある。彼には、私のアニメ風の絵は良くない、決して人気になることはないと言われた。今となっては痛快だ。
16. 海外の名無しさん
集英社の話でいちばん面白いのは、まったく同じことがここブラジルでも起きたということだ。編集者のロジェリオ・デ・カンポスが日本の商談会に出向いたとき、彼が狙っていたのはポケモンとドラゴンボールの、テレビアニメを元にしたコミック版だった。ところが先方の担当者、彼の言葉を借りれば「賢い老人」が、うちはマンガのほうの権利を持っていると言った。しかもブラジルでよく知られていた聖闘士星矢もあるという。どれも白黒で、ロジェリオはそれを知らず、白黒では売れないだろうと思っていた。彼は彩色の担当者を雇えばいいと考えて権利を取ったのだが、老人はこう言った。そのまま出しなさい。白黒のまま、元の読む向きのままで。ロジェリオは正気じゃないと思ったそうだ。ところが大ヒットした。今でも彼はその老人に感謝している。ワンピースの権利も、その老人から買ったものだ。


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